2017年4月11日火曜日

第1章 原子構造 まとめノート1

第1章           原子構造 まとめノート

到達目標: 電子配置と原子の構造を量子力学の視点と化学の視点から解析し、そこから得られた情報をそれぞれの視点で対応させる。具体的には、波動関数、量子数、軌道の形、電子配置の4者の関係を明確にリンクさせることを目指す。

水素型原子の構造

 量子力学は波動関数がなければ始まらない。そこで、3つの視点から定性的に、波動関数を考えたい。

・波動関数はどこから得られるのか。
 シュレディンガー方程式の解として得られる。このとき、例えば3次元極座標を用いて解を求めると、3個の量子数が必要となり、解はとびとびの値を取らざるを得なくなる。

・波動関数の性質1
 波動関数の2乗は電子の存在に関する確率密度である。

・波動関数の性質2
 波動関数が0と交わる場所は節、節面を表す。例えば、2p軌道の波動関数を調べてみると、角度方向について1回0を通過する点が存在する。これがp軌道の八の字のような軌道を表現している。

 さて、シュレディンガー方程式を解く過程で、3個の量子数が出現することを述べた。また、電子自体もいわゆる“自転”のような2通りのうちのどちらかのスピンを持っている。

表1 量子数と量子力学的解釈と化学的解釈の対応関係
量子数
文字
量子力学的な解釈
化学的な解釈
具体例
制限
主量子数
n
エネルギー準位
電子殻、周期
1s1など
自然数
方位量子数
l
角運動量の大きさ
副殻
2ppなど
0以上n-1以下
磁気量子数
ml
軌道の向き
副殻の種類
pxpypzなど
-l以上l以下
スピン磁気量子数
ms
電子のスピンの方向
電子の入り方
↑↓
±1/2

 ここで、量子数の制限に関して注釈を加える。3次元極座標系におけるシュレディンガー方程式は動径の部分と角度の部分に変数分離して解くことになる。このとき、ラゲール陪関数の数学的要請にしたがって、lの値はnによって制限される。また、球面調和関数(正確にはルジャンドル陪関数)の数学的要請にしたがって、mlの値がlによって制限される。 

参考文献は「第1章 原子構造 メモ」で示してある。

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