第1章
原子構造 まとめノート
到達目標: 電子配置と原子の構造を量子力学の視点と化学の視点から解析し、そこから得られた情報をそれぞれの視点で対応させる。具体的には、波動関数、量子数、軌道の形、電子配置の4者の関係を明確にリンクさせることを目指す。
水素型原子の構造
量子力学は波動関数がなければ始まらない。そこで、3つの視点から定性的に、波動関数を考えたい。
・波動関数はどこから得られるのか。
シュレディンガー方程式の解として得られる。このとき、例えば3次元極座標を用いて解を求めると、3個の量子数が必要となり、解はとびとびの値を取らざるを得なくなる。
・波動関数の性質1
波動関数の2乗は電子の存在に関する確率密度である。
・波動関数の性質2
波動関数が0と交わる場所は節、節面を表す。例えば、2p軌道の波動関数を調べてみると、角度方向について1回0を通過する点が存在する。これがp軌道の八の字のような軌道を表現している。
さて、シュレディンガー方程式を解く過程で、3個の量子数が出現することを述べた。また、電子自体もいわゆる“自転”のような2通りのうちのどちらかのスピンを持っている。
表1 量子数と量子力学的解釈と化学的解釈の対応関係
量子数
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文字
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量子力学的な解釈
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化学的な解釈
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具体例
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制限
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主量子数
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n
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エネルギー準位
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電子殻、周期
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1sの1など
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自然数
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方位量子数
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l
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角運動量の大きさ
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副殻
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2pのpなど
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0以上n-1以下
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磁気量子数
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ml
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軌道の向き
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副殻の種類
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px、py、pzなど
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-l以上l以下
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スピン磁気量子数
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ms
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電子のスピンの方向
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電子の入り方
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↑↓
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±1/2
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ここで、量子数の制限に関して注釈を加える。3次元極座標系におけるシュレディンガー方程式は動径の部分と角度の部分に変数分離して解くことになる。このとき、ラゲール陪関数の数学的要請にしたがって、lの値はnによって制限される。また、球面調和関数(正確にはルジャンドル陪関数)の数学的要請にしたがって、mlの値がlによって制限される。
参考文献は「第1章 原子構造 メモ」で示してある。
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